「明日はフリータイムなので、ジャイプールに行こうぜ!」
やたら薦めてくる。
ジャイプールはデリーから車で5時間。朝の5時にデリーを出て、夜の10時に帰ってくる強行日程だ。行ってみたいけど、2人で300ドル。高い。
たぶん、現地ツアーならもっと安いし、勝手にバスで行けばもっともっと安いはずだが、情報収集できてないので判断できない。
現金そんなに持ってきてないよ。と言うとATMで下ろせばいいと言う。インドのATMは安全だよ。保証するって言ってきます。こういう返しはイヤです。ATMの問題ではなく、お金の問題です。
普通に買い物したいと伝えるが、「テロが問題です。」の一点張り。テロ予告がでているから、人混みには行けないそうです。この日の彼の口から、問題です。を何度聞いたか分からない…。
突然、車の中で、ドライバーとガイドが口論。ヒンズー語は分からないが、こいつらチップくれねえから、もう運転したくない。とか言ってるような気がした。興奮気味のドライバーは降りてどっかに走っていっちゃった。それを追いかけるガイド。そして、車で待つ僕たち。
なんだこりゃ。
しばらくして、ドライバーとガイドが帰ってきた。しかし、なぜかガイドが運転席に。運転するかと見せかけて、そのまま横に移動して、「僕はタクシーの免許ないんです。」とドライバーに席をゆずる。なにを見せられているのだろう。
僕はこのときはよく分からなかったが、後で彼女に聞くと、ドライバーは甘い匂いをして帰ってきたらしい。
ハッシシだ!
最初に乗ったときの、お香のような甘い匂いもハッシシだったのかも。納得。
帰り道に、車がインド門を通る。すごい人だ。
少し走ると、またすごい人がいる。あれはなんだ、と聞くと、ガンジー博物館と言う。
すごい人だ。
本当にテロなんだろうか?
なんか納得できない。
いや、テロは本当なんだろう。新聞にものっていた。ただ、危険度はそんなに高くないんちゃうのか?マーケットに行けないとは思えない。
そして、またジャイプールを薦められる。テロだけど、ジャイプールは行けるのか?よく分からない。値段が高いので止めておきます。とはっきり言うと、やっとガイドが諦めた。
「じゃあ、明日は何をする?映画を見るか?」
「映画は興味ない。ヒンズー語の映画を見ても分からん。」
「同時通訳するよ。」
このガイドが映画を見たいだけな気がしてきた。「町を歩いてショッピングしたい。」というと、必殺技がでた。
「問題です。」
「フリータイムは自由に過ごすよ。」
「映画を見たあと、ちょっとショッピングできますよ。」
「映画館はどこ?」
「コンノートプレイス」
えっ、コンノートプレインはデリーの中心、一番人が多いところやん。テロで危険だけど、映画の後なら、ショッピングできるの?なんだ!この不思議づくし。
そんな話をしてたら、家に到着。明日の予定が決まったら電話するよ、と伝えた。帰り間際に、
「今日でドライバーは最後になります。今日でドライバーは最後になります。」
呪文のように言ってくる。チップを払えということなんだろう。チップってサービスに対して払うものだから、運転中に降りてどっか行くヤツに払いたくないよ。
ガイドブックに書いているチップ相場と、ツアー会社からもらった相場資料に差があって正直分からん。ツアー会社の資料はなんか高い。結局、2人で2日分で200ルピーあげた。約400円。すげーご機嫌になってドライバーは帰っていった。
まだ16時です。
家に閉じ込められた!?
まだ明るい。家にいるのはもったいない。グプタさんに街に行く方法を教えてもらおうと、1階に下りたら、誰もいない。真っ暗。あれ?さっきまでいたのに。
この家がデリーのどこなのかまだ分からない。地理が分からんと移動ができない。一緒に帰ってきた日本人の部屋に行くと、「本でも読もうと思うから貸してくれますか?」と言われた。そりゃ、たくさん本を持ってきましたよ。しかし、あなたの好みの本がありますかどうか…。いやいや、本なんか読んでいる場合じゃないでしょ。一緒に出かけましょう!
外に出ようと思ったら、ドアに鍵がかかってる。家から出れない!
えっ、なんで?
屋上に上がると、鍵がかかっていて屋上にも出れない。朝はドアが開いてて、ヨガもしてたのに。
えっ、閉じ込められているの?
そんなわけない。もう一度下に下りて、ドアをあけようとするがやっぱり開かない。なんで外から鍵がかかってるの?どの部屋も真っ暗。
1階のリビングにパソコンが1台ある。ネットで調べようと思うが、電源が入らない。そこらじゅう埃だらけ。UPSみたいなやつだけ電源が入ってる。パソコンも使えない…。1階の入口に戻る。強引に突破するしかないのか。と思ってたら、ベルがなった。
ピンポーン
えっ、どこで鳴ってるの?
ピンポーン
ガチャガチャという音がして、知らないおじさんが、鍵を開けて入ってきた!あとで知ったが、このおじさんはグプタさんの兄弟で、この家に一緒に住んでいる。
状況を理解できずにいたら、暗闇から眠そうなグプタさんが出てきた。寝てたらしい…。
「お前たちは何がしたいんだ?」
眠そうなグプタさんが言う。「コンノートプレイスへの行き方を教えてください。」と言って地図を出した。
説明してもらってわかったのは、この家は、デリーの北に位置していて、最寄駅はPulbangash駅(プル・バンガシュ)。メトロに乗れば、乗り換えて1回で、コンノートプレイスに行ける。降りる駅はRajiv Chowk(ラジヴ・チョウク)。
暗くなる前に帰ってくればOKだろう。ということで出発!
コンノートプレイスに行こう
最寄りのPulbangash 駅まで歩いていると、ジロジロ見られた。みんな目つきが鋭いから、悪者に見える。
家の周りにはスーパーも駅もないって言ってたのに、ポツポツお店があります。

10分ぐらいで駅に着いた。路線図を確認して、Rajiv Chowkまでチケットを買う。6区間で15ルピー。2人で30円。チケットを買って、改札に入ろうとすると、ポリスにセキュリティチェックを通れと言われる。
空港の荷物検査みたいなんがあって、荷物はX線検査がある。体もチェックされて、やっとホームに入れた。ものすごいたくさん警察官がいる。テロ予告のせいらしい。
やっぱりテロ予告は本当なのだ。

電車がきた。

Kashmere Gate駅で乗り換え。
ちょうど仕事帰りの時間帯のよう。大混雑。身動き取れない。荷物を取られないように気をつけてました。
人ごみの中、偶然ガイドと会う
地上に出て、ウロウロしてたら、ガイドとばったり遭遇!HIS部長の同僚と仲よさげにいました。こんなに人がたくさんいるのに、偶然なのか?盗聴器が付けられているのか?すごい不思議。
「電車で来たのか?」
「大丈夫だったか?」
「どこに行きたいのか?」
と質問が続く。
「水が買いたい。」
水ならすぐにそこで買えるよ。と連れて行ってくれた。1リットル15ルピー。3本で45ルピー。ペットボトルをよく見ると、すでに蓋が開いていたので、交換してもらう。一回開けて、水道水を入れて売ってることがあるので、蓋はチェックしましょう。よくあります。注意です。
ガイドはコンノートプレイス中心の公園に行くというので、ついて行くことにした。入ろうとすると、ここでもボディチェック!
1人ずつ持ち物チェックされていたら、「お前は公園に入れない」、とポリスに言われた!えっ、なんで?何も悪いことしてないし、危険なモノも持ってないのに。
理由を聞くと、カメラを持ってるからだそうだ。これもテロの影響らしい。理由は分からんが、仕方ないそうだ。ガイドが交渉するも叶わず。なので、公園に入るのは諦めて、みんなで引き返した。
と思ったが、ガイド2人はどうしても公園に行きたいらしく、「気をつけろよ」と言い残して、公園に入っていった。
インドでは男同士で仲良しな人が多い。男同士で手をつないで歩いている人たちがあちこちにいる。
さて、これからどうしよう。
パリカ・バザール Palika Bazar
コンノートプレイスの地下にはパリカ・バザール(Palika Bazar)というショッピングモールがあるので、行ってみた。ボディチェックと荷物チェックを通過して、地下街に入る。
うわっ、空気わるっ。
モワっとしてて、薄暗い。トイレの近くは臭い。空調のせいなのかどことなく息苦しい。呼吸がしんどい。Tシャツが100ルピーぐらいで売ってて、すごく安いがホコリっぽいし、欲しいものが全くない。なんかいろいろ売ってるのだが、何も買わずグルっと回って地上に脱出。
空気がおいしい。
噂の政府公認観光案内所に行く
地上に戻って次に行ったのが政府公認観光案内所。現地ツアーの値段や内容を見たかった。政府公認観光案内所はやたらトラブル事例ででてくる場所なので、興味もあった。
「政府公認観光案内所に連れて行くよー」
「今日はしまっているよー」
とか言われて、インド人に関係ないところに連れていかれて、高額ツアーを申し込まされるそうだ。そんなトラブルが多発しているらしい。
話しかけてくるインド人をかわしながら進む。

着いたら、閉まっていた…。
こういう事例もいっぱい載っていた。本当に閉まっているのか分からなかったけど、今日は日曜日だし、もう時間も18時を過ぎてるし、本当に閉まってるのかな。と思っていたら、案内所の前で知らないオヤジが話しかけてきた。
「今日は、政府機関は日曜日で閉まっているけど、2ブロックいったところにある政府公認の案内所はあいてるよ。」
でた!
本に書いていたとおり!
うそ臭い!
こいつについていけば何かが起きる!
行ってみよう、と思って振り返ると、女性2人が完全に引いてる。なので止めた。執拗なオヤジを断りながら、ぶらぶらする。
のんびりしてていい場所だ。暗くなってきたので、帰ることにした。
Rajiv ChowkからPulbangashにメトロで帰る
メトロでチケット3人分を頼んだ。45ルピー。100ルピー払ったが、渡されたお釣りは50ルピー。あれ?5ルピー足りない。3つチケットをもらったが、2つは青で、1つだけ黒。仕組みが分からん。
5ルピー返せ、と言ったが、何か反論してくる、チケット売り場はすごい列になっているので、後ろのやつのプレッシャーに負けて断念。黒チケットで電車に乗るが、何事もなく電車に乗れた。色は関係ないようだ。紛らわしい…。全部同じ色にしろよ。
メトロで移動したことで、やっとデリーの地理が分かった。コンノートプレイスを中心とした地下鉄や、ニューデリーやオールドデリーの場所が分かって、やっと旅行に来た感じ。
自分の足で歩かないと面白くありません。

Pulbangash駅につくともう暗かった。